アメリカに行って戸惑うものの一つがチップ制度。このチップ、何かにつけて支払わないといけない。面倒なことこの上なし。法律で決まりがあるわけではなく、慣習として支払う制度だけに誰も詳しく教えてくれない。結局、ガイドブックなどを頼りにやり方を覚えるわけである。
何かにつけてついて回るチップ
個人的にはチップでトラブったことはないが、例えばレストランで支払ったチップが十分ではないと店を出てから追いかけられた、などと言う話も聞く。そんな面倒に巻き込まれたくないのでとりあえず払うべきものは払う。ところがこのチップ、レストラン、タクシー、ホテルなど、何かとチップが必要で面倒で仕方がない。こちとら日本ではそんなもの無くても十分サービスが行き届いているのに、と思ってしまう。しかもアメリカで受けるサービスは日本に比べて決して良質とはいえない。なのになんでわざわざ別料金必要なの？ と愚痴りたくもなる。何かにつけてチップを支払うのだから、塵も積もればでチップだけでも馬鹿にならない金額になる。
支払い方法とその金額目安
さて、このチップ。様々なシーンで支払いの方法と金額の目安というものがある。主なものを挙げると以下になる。
レストラン
チップを支払う代表格と言えばレストラン。まずレストランではチップを支払う上で客と店員は1対１であるという原則がある。日本では客はどの店員でもオーダーしてしまうところだが、アメリカでは店員Aさんにとって客Bさんは固定であり、その店員さんのサービスに対する評価がチップなのだ。
また少し話が逸れるが、オーダーに関して言うと、客であるあなたは店員さんがテーブルに寄ってくるのをひたすら待たなければいけない。時にはなかなか寄ってきてくれないこともあるが、間違っても日本風に「すいませーん！」と大声で呼ぶのはご法度。これは世間知らず、礼儀知らずな行為とみなされて下手すると出禁になる。なかなか店員が来ないときもあるがそんなときでも辛抱強く待って、近くを通る店員に「敬意をもって」話しかけ、オーダーする。これが流儀。ちなみにメニューを開けたままだとまだ決めかねているとみなされるのでメニューは閉じて待つ。
さて、肝心のチップだが概ね10％～20％が相場。一昔前は10％でもあまり問題なかったが最近の物価高を考えると15％ぐらい払う方が無難だろう。20％支払うときはよほどこちらに気遣ってくれた時で、彼らにとってかなりの好待遇になる。
またアメリカのレストランのほとんどがレジで払うのではなく、テーブルで支払いを済ませる。以前は支払いは現金が多かったが最近はクレジットカードが多い。どちらの場合も金額は食事代金＋消費税＋チップという金額をレシートに書いて渡す、という形。以前はチップ金額は自分で計算しないといけなかったが、最近はレシートに「10％」「15％」「20％」とそれぞれチップ金額が記載されていて金額がわかりやすいお店もある。クレジットカード支払いは受け取るレシートとお店に渡すレシートがある。事前に手順を知っておいた方が良い。
（レシートの書き方と手順はこちら）
ホテル
主に2つの場面でチップが必要となる。
・ベッドメイキング
シーツを取り替えたりごみを出したりするスタッフさんへのチップ。これは枕の下に1ドル置くことで事足りる。ただ小銭をジャラジャラ置くのはご法度。一度だけベッドメイキングでありったけの小銭で１ドル枕の下に置いたら持っていかれなかった。基本は1ドル紙幣だが、小銭の場合、精々25セント4枚ぐらいなのだろう。
・荷物運び
チェックインで荷物を運んでくれることがある。荷物の数にもよるがざっくり言うとスーツケース1個ぐらいであれば１ドルで十分。家族で3～4個となれば３ドルぐらい渡した方が良い。
タクシー
タクシーでは概ね料金に対して15％のチップ。荷物の積み下ろしを手伝ってもらったらそれとは別に1ドルのチップ。
チップが必要ないお店
ファストフードやスーパーマーケット、コンビニ、露店商など客がレジで直接会計するスタイルの場合はチップ不要。
滞在中は意外とかかるチップ金額
こう考えるとアメリカに滞在した場合、相当額のチップが必要になる。滞在の方法にもよるが「ホテルに滞在」「レストランで食事」「タクシーに乗る」ということを繰り返すとそれぞれの料金にもよるが一日に1,000～2,000円ぐらいのチップが必要になる。
仕事で出張に行ったときなど、ホテル料金やタクシー代などは出張経費になるがチップ代は経費にならないこともあり、かなりの出費を覚悟しないといけない。
その一方でチップは当事者にしてみると、貴重な現金収入。実際、彼らはチップを見越して給料が安く設定されていることが多い。日本にはないシステムなので面倒といえば確かにそうなのだが、そういう背景を知るとケチってトラブルになるよりは素直に払って気持ちよく済ませるのが無難というものだろう。
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