イギリス・ロンドンに行ったのはもう十年以上前。渡英にあたって周囲の人に言われたのが「食事は期待しない方が良いよ」だった。
この話はよく聞く。とにかくイギリスの食事は美味しくない。フィッシュ&チップス以外、これと言った名物料理もない。ビールは美味しいけどね、と。美味しい食事がしたければイタリア人が営むイタリア料理店など、その国の人が自国の料理を作っているお店に行かないと期待できないよ、というアドバイス。また今は状況が変わっているかもしれないが現地の日本料理はあまり期待しない方が良い、とも言われた。
確かにイギリス料理と言われてピンとくるものが無い。そして実際行ってみて思った。やっぱり美味しくない。実は私自身、それほど食事にこだわる方でもなく、好き嫌いがあるわけでもない。あるものは何でも食べる。海外に出かけた日本人が「あー、コメが食べたい」とか「味噌汁が」という感覚もあまりない。そんな自分でもイギリスで食べた食事で「これ!」という記憶がほとんどないのだ。
フィッシュ&チップスとビール、インド料理は誇れる
美味しいと思ったのは噂どおりフィッシュ&チップス。これは美味しかった。パブで食べたフルサイズ(ハーフサイズもある)の白身魚のフライ。それにフライドポテトがアホみたいに大量に乗せられていた。白身魚はおそらくタラで、レモン汁とタルタルソースをかけて食べるのだがこれは間違いなく旨かった。フルサイズで食べるとかなり食べ応えがあり、おなか一杯になる。
印象に残っているのはインド料理。インドは大英帝国時代の植民地だったことからか、ロンドンでもインド料理店が目につく。日本にもよく見かけるし、現地でも入ってみたら、これも美味しかった。日本のインド料理は日本風にアレンジされているところが多く、全体的にマイルドな感じだが、イギリスのインド料理はイギリス在住のインド人も食べるためなのか、比較的本場インドの味に近かった(実は以前、インドに行って食べた)。このインド料理とフィッシュ&チップスは美味しいと思う。また紅茶も美味しかった。もしかしたら本場の味、という思いが強かったので美味しく感じたのかもしれないが、日本の紅茶よりも種類が豊富で美味しいと感じた。ただ一緒に出てくるお菓子はただただ甘いだけ。こういうところのセンスが無いんだよな。
イギリス庶民の味 チップバティ
さてイギリス本国では食べなかったが、代表的なイギリス料理の一つをご紹介。
名前は「チップバティ」。ご存じの方もいるかもしれないがパンにフライドポテトを挟んだもの。これはお店で食べるようなものではなく、家で食べる手軽な昼飯、というぐらいの位置づけ。まあ、あまり上品なものではないのだが、イギリス人にとってはかなり身近な食事のよう。
具材はパン(食パンでもいいし、バーガーバンズでもいい)とフライドポテト。味付けはバター、ケチャップ、お好みでマスタード。なんとなく日本人の感覚からするとパンにフライドポテトを挟んで美味しいの? パンとフライドポテトって炭水化物の組み合わせ? という感じもするだろうが、日本で言えばコロッケパンや焼きそばパンみたいな存在か。お好み焼き定食というものあるし、よーく考えるとそれほど変ではない。しかもこれが意外と美味しい。
パンを軽くトースト
パンにバター、お好みでマスタードを塗る
フライドポテトを調理(もちろん冷凍ものでも可)
パンにフライドポテトをのせる
その上からケチャップをかける
パンで挟む
以上。とっても簡単。細かいレシピはこちらにもあります。
「うまっ!」と飛び上がるほどおいしいものではないが、想像するよりもおいしい。興味がある方は是非、お試しあれ。
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