今みたいにインターネットが無かった時代、音楽情報というと、雑誌、レコード、ラジオがメイン。プロモーションビデオもなかったので、外タレ(死語?)が動いているところを見ることができる機会もなく、あるとすれば特別に作られた映画ぐらい。テレビで「ベストヒットUSA」を初めて見たときは感動ものだった。
ビートルズは初期の頃から映画製作されていたので、彼らの映画を見ればとりあえず動いているところ見ることができた。雑誌やラジオで取り上げられるきっかけも多いことから「初めて洋楽に接した」のがビートルズという人はかなり多かったと思う。
私がビートルズを知ったころはすでに解散していたのだが、他のバンドと比較しても情報は多く、洋楽と接するお年頃はビートルズを避けて通れない道だったように思う。
しかし当時はまだ中学生だったので2,500円のレコードをじゃんじゃん買うこともできず、レンタルショップもない時代なのでやむなく人に借りて聞く(オーディオセットが無いと録音もできない!)、あるいはラジオで流れる曲をラジカセで録音する、が精いっぱいだった。そういえば当時、ラジオで「ビートルズよ永遠に Beatles forever」という番組をやっていてよくそれを聞いていた。AMラジオなので音質は悪かったが数少ないビートルズの曲をまとめて聞ける番組だったのでよく聞いていたし録音もしていた。
AIによる再現
「Now and Then」はビートルズ解散後の1970年代後半(1978年と言われている)にジョン・レノンが録音したデモテープをもとにしている。ジョン・レノンの死後の1994年、残った3人による「ビートルズ・アンソロジープロジェクト」でもこの曲の再現を試みたが、結局、雑音の除去など技術的な壁を乗り越えられず、当時はお蔵入り。今回はAIを使ってジョン・レノンの声と伴奏ピアノ、雑音を分離してきれいに再現させたようだ。すごいですね、AI。なんでもできちゃう。
ビートルズ最後の曲
「アンソロジー」の時は別テイクがメインだったので、新鮮さ半分と「ははぁーなるほど、こういうアレンジもあったのか」というモノ珍しさ半分、で聞いた。
映画「ゲットバック」も新しいビートルズというよりもスピンオフ的な見方をした。
「Free as a bird」はどちらかというと佳作。未発表曲としての価値はあるがアレンジ不足は否めない。全盛期のビートルズであればさらにアレンジを加えて「聞かせどころ」を作ったように思う。
そして「Now and Then」。曲調に少し哀愁を感じますね。本当はお蔵入りだったけど、運よく復活して、代役ではなくオリジナルメンバー全員の演奏と歌声で作った、というプロセスも裏話として良い。曲自体、ビートルズらしいというか、おそらく当時もこういうアレンジだっただろう、と想像させる仕上がり。Now and Thenはビートルズの新曲に加えていい作品だ。
ポール・マッカートニー曰く「これが最後のビートルズ」だという。まあ、ビートルズに限らず、すでに解散しているバンドの場合、次々と新しいパッケージものが出てくるのであまり信用できないけど。