最近、動画などを見ているとたまに目にするのが“Just stop oil”と呼ばれる団体の行動。彼らはJSOと略される団体で何をやるかというと、読んでそのままなのだが「オイルを止めよう」という主張をしている。ただそのやり方がかなり行動的、というか過激。まずニュース等でも有名になっているのが美術館などで展示されている有名な絵画にトマトスープをかけて、さらに自分たちの手のひらを壁などに瞬間接着剤で貼り付け、動けないようになった状態で「石油を使うのはもうやめよう!」と叫んだりする。
また地域の幹線道路に横一列で並び、人間の壁を作って車の通りを遮断し「オイルを止めよう」などのメッセージバナーをもってゆっくり歩く、あるいは完全に座り込む。ドライバーが車から降りて動かしてもまたぞろ戻ってきて通行を遮断。車を無理やり動かそうと車輪の下敷きになりかけても動かない。
これは同じ団体がやっていると思われるのが、スポーツイベントの会場で紙吹雪やペンキなどをまき散らし、同じようにオイルストップを主張する、というもの。
標的になっているのは主にヨーロッパの国々で日本ではこのような行動は現れていないが、今後日本のイベントや公道などで行われる可能性も十分あるだろう。
その行動で目的を達成できるのか
彼らがこういった行動に走る原理はYouTubeでやっている山田五郎さんの「大人の教養講座」でも話に出ている。例えば絵画を標的にするのは「現在、地球環境は人によって汚されている。トマトスープで汚された名画を見るのは悲しいですよね。同じように地球環境が汚されている現実を悲しんでください」というもの。
道路封鎖や車のディーラーにオレンジのパウダーを投げるなどは石油消費を促す者への抗議というわけだ。
彼らの主張はどのぐらい支持されているのだろうか。主張していることは理解できるが、どのぐらい共感されているのか。一説にはイギリスではそれなりに支持もあるようだが、例えば車の通行を止められてその場に居合わせたドライバーなどはたまったものじゃないだろう。車を動かしている人だってそれなりに理由があって車に乗っているのだからそれを突然止められても困る。絵画を標的にしたものも一応、ガラスで表面を覆っているものを狙うということだが、だからと言って美術館の学芸員さんが「そうだ、自分たちも石油を使うのをやめよう!」はならないだろうに。
言いたいことを言うだけでは誰もついてこない
彼らが主張したいことの本質的なことには理解しつつも、やり方としてはかつて日本で盛んになった学生運動のそれとあまり変わらないように思う。学生運動も最初はある一定の人たちの共感を得ていたが、そのうち過激に走り、誰もついてこなくなった。結局、それと同じ道をたどるのではないかと思う。
JSOの主張をそのまま受け入れようとすれば、例えば日本の江戸時代ぐらいまで戻らないといけないだろう。そんなことはまずあり得ない話で、このまま人間がいる限り、石油は使い続け、ごみは増え続け、地球環境は汚されていくだろう。本気で環境を改善したいなら主張するだけではなく、是非代替案を。たぶんJSOの主張は1億年後ぐらいに人類が滅亡したら目標が達成されるかも。