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箱根駅伝 お正月恒例の大学スポーツと留学生。あなたは肯定派? 否定派?

 お正月のスポーツと言えば箱根駅伝を思い浮かべる人も多いと思う。毎年恒例のスポーツイベントとして定着しているだけにテレビ放映でも人気番組の一つである。沿道の応援もいっぱい。当然、視聴率も良い。大学にしてみると上位に入ることでテレビ露出が増えれば良い宣伝である。なにしろ年始と言う入試時期を考えても絶好の広告宣伝になる。全国にあまり知られていない大学にとっては箱根である程度の結果を出すための様々なコストと広告宣伝のメリットを考えると元が取れるように見える。

留学生の何がいけないの?

 そして箱根駅伝が終わると必ずと言って良いほど出てくるのが海外留学生の是非をと言う声。日本人選手以上のパフォーマンスを持っている海外留学生を採用するなんてけしからん、という意見である。留学生はよろしくない、と言う人の意見はどういうものかと言うと、概ね国粋主義というか純血主義というか、要するにプロスポーツでもない学生スポーツに規格外に速い留学生をチームに加える勝利至上主義に意味はあるのか、そうまでして勝ちたいか、という意見が多いように思う。同じように留学生の姿をよく見る学生スポーツはラグビーだろう。これは箱根駅伝とは少し事情が違う側面はあるが、あまりこれに文句を言う人はいないように思う。

 最初に個人的な意見を言うと、私は海外留学生を採用すること自体、反対ではない。チーム全員が留学生という極端なものはいかがなものかと思うが、現状、留学生をチームに加えるためには一定の規制があり、これは十分機能していると思っている。

日本の実業団制度とケニア人の事情

 箱根駅伝の留学生のほとんどがケニア人。彼らが多い理由に日本へのスカウト制度があるからだ。そこで優秀な成績を修めたものが日本へ留学することができる。つまり彼らは現地でも陸上長距離のエリートなのである。
 留学生が箱根駅伝で活躍するようになって30年以上過ぎているが、先人は日本で活躍し、エリート選手になって自国に立派な家を建て、選手時代に稼いだお金で事業を始めるなど成功例がある。陸上競技が得意な子供がそういったものを見て裕福とは言えない自国の事情から自分も、と思うのは自然な流れと言える。

 彼らには日本への渡航以外にもプロになる道はあるものの、いきなり海外の大会で結果を残してギャラを得るには相当な努力と運が必要になる。その一方で日本の陸上界は学生として競技会に参加し、成績次第で実業団に入るという道筋ができている。実業団としても実力主義は変わりないものの一定成績を残し続ければ、給料をもらって長く陸上を続けることができる。日本の実業団の給料はそんなに高額ではないものの、ケニアの所得と比較すれば日本は魅力的な国になるわけだ。箱根駅伝や高校駅伝で留学生を多い背景には、日本側が一方的に彼らを欲しているのではなく彼ら自身も日本で一旗揚げたい、と思っている側面があることを忘れてはいけない。

彼らも相当な覚悟で日本に来ている

 ただその一方で彼らの立場になって考えてみれば相当な覚悟が必要だろうと想像できる。なにしろ全く見知らぬ国、違う文化の国に行くのである。ケニアと日本では言葉も違えば食べ物も違う。少々長めに海外に行ったことがある人であれば、言葉が通じない、食べ物が合わないとき、いかに心細いかということが理解できると思う。
 実際、日本には来たものの、生活習慣や言葉の問題などでなじめずに結果的に成績も伸び悩む選手もいる。彼らも必ず成功するとは限らないのだ。

 そもそも日本に来たからと言って彼らが特別扱いされているわけではない。箱根駅伝のチーム編成は実力のみで選ばれるので彼ら留学生もチーム内では平等でチームの枠に入れないことだってある。また日本の学生にしてもスポーツ推薦などで入学すれば学費や成績で優遇されたりしているのは一部の大学だけではなく、箱根駅伝に出場するような大学では程度の差こそあれ、すでに常態化している。それが悪いと言っているわけではなく、そういう現実もある中で留学生に冷たい目線を向けるのはあまりにも偏った考えではないか。
 実際、最近では留学生を要しているからと言って必ずしも上位に行けるわけではなく、むしろ「純国産チーム」が優勝し、上位に食い込んでいる。留学生と勝利至上主義とは直接関係ないと見る方が公平ではなかろうか。

もっとおおらかな気持ちで応援すべきでは

 留学生は日本選手にもプラス面がある。同じチーム内に一段レベルの違う選手がいるわけなのでその選手と接点を持つことで強くなっていく、というのは大きなメリットになる。そもそも多くのスポーツが人種や出身国籍を超えたチームを作っている時代に留学生はイカン、などと言っているはなんとも時代遅れな気がしてならない。もっとおおらかな気持ちで見るべきでは。日本の野球やサッカー選手が積極的に海外チームに移籍する時代、日本国内も海外からの選手を取り込んでスポーツを盛り上げることに拒否感が出ないような世の中になってほしいと思う。

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なんべぇ
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