長野オリンピックが開催されたのが26年前の1998年。その翌年に長野マラソンが開催。今回で26回大会となりました。当時は長野オリンピック記念というサブタイトルがついていましたね。全国のマラソン大会には40年以上継続している大会もあるので、26回というのはそれほど歴史が長いというわけでもないけど、それでも26年間も参加者に支持され続けるというのは並大抵のことではないはず。新聞記事によると今回も9,000人近く出走しているのでエントリーでは1万人ぐらいいるのでしょう。コロナ禍で募集が芳しくなかった時期もあったようですが、完全に復活しましたね。
歴史を紐解いていくと、長野マラソンは前身としてエリートレース「信毎マラソン」というものがあり、信毎マラソン自体も40年以上続いたというから、まさに歴史ある大会というわけですね。長野が誕生した後、東京マラソンや大阪マラソンなど、大都市で開催される大会が続々登場するわけですが、全国の大会の中にはこれら大規模かつ都市型大会に参加者を奪われるのではと危機感を募らせる大会もある中で長野はこの人気。なかなかできることではない。
制限時間5時間の妙
26年間でコースも少々変わっているが、長野市内を基本にしている点は変わりない。またこの大会が初回から一貫しているところでは制限時間が5時間という点。東京マラソンが始まる以前、おおむね一般公道をコースにしているフルマラソンの制限時間は5時間、という相場があった。ところが東京マラソン以降、様々な大会が制限時間を6時間以上に伸ばしている。理由は42.195㎞を5時間以上かけても完走したいという参加者も含めて取り込んでいく狙いがある。
一方で長野は制限時間5時間とすることで、結果的に参加者の自尊心をくすぐる形になっているのではないかと思うのですね。つまりは長野マラソンの参加イコール5時間以内の完走を目指しているイコールそれなりに練習している、という方程式が成立するわけ。
長野の参加者皆さんがこういった意識で参加しているわけではないだろうけど、一定数のランナーにとっては「いつかは長野を完走する」という目標が生まれる。長野の魅力はコースや競技運営に関する高評価もあるけど、この5時間という今となってはあまり他にない目標大会になっているので、その存在意義は大きいと思う。実際、制限時間6時間以上の大会で会場に来ている参加者と長野マラソンの参加者を見ていると明らかに差があり、長野の参加者は絞られた体型でそれなりに練習していと見て取れる人が多い。
こだわりを持つことの大切さ
長野マラソンの制限時間が意図して5時間なのか、あるいはそうならざるを得なくて、たまたま5時間なのか、そこは定かではないが、今のところ、それがばっちりハマっている。全ての大会がこうあるべき、とは思わないが、こういう「こだわりの大会」は得てして人気が高い。唯一無二の存在であれば、そこに行くしかないわけで、各大会こういった「こだわり」を持つことができたら、もっと面白い大会が増えると思うのだがいかがでしょうか。