大阪マラソンが2月25日、東京マラソンが3月3日と2週連続して開催。日本でもこんなに大規模な、しかも大都市でマラソン大会が行われるなんて20年ほど前だったら考えられなかったけど、今では各都道府県でフルマラソンやハーフマラソンが開催されるようになりました。万単位の参加者が銀座など都心のド真ん中で数時間交通規制を行った中を走る、というのは以前では考えられなかったわけで、それだけでも大いなる変革。
両大会ともにいろんな趣向を凝らして大会の特色を出しているので、参加する側としては「選べる楽しさ」はありますね。もっとも、抽選という関門があるので必ずしも参加できるとは限りませんが。
– 東京マラソン - もはや世界屈指の規模と高速コース
開催場所、コース、開催に伴うテレビ放映、招待選手など、どこを切り取ってみても豪華。事前に行われる「マラソンEXPO」の会場もドデカい。15年ぐらい前にニューヨークシティマラソンやロンドンマラソンのEXPOに行ったが東京ほど出店ブース多くなく、意外にこじんまりしていた。6メジャーズ(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、ロンドン、ベルリン)すべてのEXPOを見ていないがこの中で最も規模が大きいのではないか。
コースは初開催当初から都庁スタートは変わりないものの、途中コースは幾度かのマイナーチェンジを繰り返し、現在のコースは先の6メジャーズの中でも好記録が期待できるコース。またフィニッシュ地点は皇居前の行幸通りで、これはロンドンマラソンのフィニッシュ地点「バッキンガム宮殿」を意識したのか?
ここ数年の参加者傾向を見ていると海外からの参加が多くなっている印象がある。コロナ前は中国や台湾など、比較的アジア系の参加者が目立っていたが、このところは欧米系の参加者が多い印象。東京マラソン財団が発表した完走者数によると約35,300人が完走してそのうち海外参加者が約13,300人。約4割近くが海外参加者ということになる。
– 大阪マラソン – 大阪中心部を楽しめるコース
2007年の東京マラソン開催から遅れること4年。2011年に大阪マラソンが開催された。コースは度々変更されているが大阪城スタートは当初から変わっていない。途中、御堂筋や難波といった大阪都市部を走るコースは魅力的。開催当初のフィニッシュは大阪港の臨海部だったが、現在は大阪城にまた戻る形。結果的にコースのほとんどが大阪中心部となった。
初開催のころは東京マラソンのコピー版のような印象もあったが、今では大阪の独自性もあって参加する側は楽しめるコースだ。
EXPOの規模としてはそれほど大規模とは言えないがフードコートを充実させて大阪ならではの食事ができるスペース、吉本芸人によるステージなど、ここでも関西独自の趣向があっていい。
びわ湖毎日マラソンがなくなり、大阪マラソンは関西での選手権的な存在になってより存在感が増した。関西には京都、神戸など都市型マラソンが多く、そういう意味では競う相手は東京ではないのかもしれない。もしこの3大会+αで連携して「フルマラソンサーキット」のような形ができたら相乗効果が上がるのではないか、と考えるのは都合が良すぎるだろうか。
地方大会の現在地
実はコロナ以降、地方大会では参加者募集が芳しくない大会が増えている。フルマラソンはなんとか踏ん張っているが、種目がハーフ以下の場合、なかなか募集が厳しい、という。
理由の一つにコロナによる影響がある。コロナの影響で一時開催を断念。その際にほかの大会に振り替えた参加者が戻ってこない、という現象だ。
もう一つの理由は昨今の原材料高騰などで参加費の値上げをせざるを得ない、という事情もある。参加料を値上げする→参加者が参加回数や参加大会の選択をする→結果、選ばれなかった大会は参加人数を減らす、という循環。参加費は大会運営費には貴重な財源となるが、参加費の値上げで結果的に参加人数が減ってしまうとすれば、何とも皮肉なことだ。今後は選ばれる大会とそうではない大会の二極化が進む可能性もある。
またこういったランニングイベントではボランティアの存在が欠かせないが、各大会でボランティアが集まらないという現象も起きつつある。これは地方に限らない話だが、少子高齢化の影響が少なからずあり、ボランティアを申し出る個人、団体が減っている地域があるようだ。
これら複合的な理由に加えて、人口減少も相まって税収が減り、結局、開催を断念しなければならない大会も出てきている。日本のランニングイベントの多くが行政主導で相応の税金が開催経費に組み込まれているからだ。
こう考えると地方大会の未来は明るくないように思われるが、募集が活況な大会が複数あるのも事実である。また今年は新幹線開通記念として「ふくい桜マラソン」も新たに開催される。要は大会主催者側の熱意と創意工夫なのだ。