ロック界の伝説的存在だけに、書くべきかどうか、かなり迷った。例えばビートルズやローリングストーンなどでも、熱狂的なファンはいる。だが、レッドツェッペリンとなると話が少し違ってくる。かなりコアで狂信的なファンが多いように思う。かつファンはバンドの細かいところまで知っていそう。私のような一般素人が語ると「全然わかっていない!」と怒られそうな気がするのだ。何よりもロック界のご意見番S谷Y一さんが黙っていないだろう。でもまあ、こっちは素人なのを良いことに書きたいことを書いてみたいと思う。
レッドツェッペリン(以下LZ)は1969年から1979年までが活動期。最後はドラムのジョン・ボーナムの死去によって解散した。この間のアルバムは9枚。数字だけ見ると年に1作のペースだが最後の「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」と直前のスタジオ録音盤「プレゼンス」の間が3年開いている。この3年の間にLZ唯一のライヴアルバム「永遠の詩(熱狂のライヴ):英名The song remains the same」がある。今回はその映画とライヴアルバムについて。
映画「永遠の詩(熱狂のライヴ)」について
映画が上映されたのが1976年。当時、私はどちらかというとビートルズファンだったのでそれほど関心は無かった記憶がある。しかしハードロックファンの友人が映画のポスターを前に「絶対に行く!」と力強く誓っていたのを覚えている。当時の時代背景を言うとプロモーションビデオなどまだないので、外タレが動いているところを見るというのはほとんどできなかった時代。結局、私は映画上映当時に見ることなく、その後(たぶん10年ぐらい後)、テレビかビデオで見たと思う。ちなみに今はDVDが手元にあります。
この映画は「ただのライヴ映像にしない」がコンセプトの一つだったそうだ。冒頭、この映画のプロデューサーがギャングに扮して登場する。これがなんとも芝居じみていて(実際、芝居しているのだが)見ているこっちが少々恥ずかしい。その後、各メンバーがプライベートを家族と楽しんでいるところに召集がかけられ、プライベートジェットでニューヨークに集まり、そこからがようやく本編である。
ライヴ自体はマディソン・スクエア・ガーデンのもので3日間の映像を編集している。ジミー・ペイジがギターを弾いている様は「結構、動き回るんだなぁ」とか「whole lot a love」でテルミンを操る姿、バイオリン奏法のシーンなど、さすがに写真で見るよりも映像での発見は多い。また各メンバーがメインになる曲でも同じような小芝居シーンがある。さらに実際に事件となったツアーの売上金が盗まれる新聞報道についても触れていて、盛沢山である。
映画のラストはライヴ終了後、リムジンに乗り込み、再びプライベートジェットで旅立つ。BGMは「Stairway to heaven」。このシーンの作りこみは映画風で好きだな。
当時のLZはイギリスでもテレビ出演がほとんどなかったという。と、いうことはイギリス本国の人たちもあまりライヴ風景を目にすることができなかったのだろうか。だとすればこの映像は本当に貴重だと思う。
アルバム「永遠の詩(熱狂のライヴ)」について
映画のサウンドトラック盤として発売されたが映画に収録された曲順とアルバムに入っている曲順は一致していない。映画を見た人にとっては映像を回想しながら聞けるので2度おいしい感じがする。また各曲の音質は映画よりもアルバムの方が良いように思う。
アルバムだけを聞いていると映像が無い分、集中して聴ける。そこで改めて思う。LZはライブバンドではないな、と。スタジオ録音の完成度と比較すると明らかにライヴ版は見劣りする。わかりやすいところではジミー・ペイジのギター。指癖で弾いているのがマルわかり。もっともジミー・ペイジほどになるとそこにも味があるのだが。またロバート・プラントはヴォーカルのキーを下げているようで、この点に関してファンの間では不評らしい。
このアルバムでの山場は「Stairway to heaven」とアルバム最終曲の「whole lotta love」だろう。「whole lotta…」をブギウギ風にアレンジするところはとてもカッコいい。これだけでも聞く価値はある。
解散後(おまけ)
アルバム「No quarter」
1980年の解散後、ジミー・ペイジとロバート・プラントは1996年にアルバム「No quarter」の発売を機に再びツアーを行った。この時は来日していて、私はそのライヴを大阪城ホールで見た。全体的な曲調は力任せに押しまくるのではなく、聞かせる音楽になっていた。LZ全盛期とはかなり違ったイメージだった。中東の民族音楽を連想させるようなものありと、ただのハードロックミュージシャンではなく、崇高な音楽家としてすっかり大人に変貌していた印象がある。あとで知ったのだがこの二人がペアを組んでいた期間はわずか5年だった。
「Becoming Led Zeppelin」
ドキュメンタリー映画「Becoming Led Zeppelin」が完成したよう。2021年にベネチア国際映画祭で上映されたが遂に完成したとのこと。
公開予定は北米、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどで残念ながら日本は含まれていないとのこと(!)。まあ、こういうものは変更もあるので日本配給もされることを期待したい。