映画

SF映画の金字塔「バックトゥザフューチャー」

 この映画は上映公開当時に見に行った。今でも好きな映画の一つ。見に行ったにも関わらず言うのもなんだが、当時、内容的にはそれほど期待していなかった。なにしろ映画ポスターのキャッチコピーは「初めてママにキスされて、パパと握手したのは30年前だった…」などというB級SF映画のよう。「なんだかなぁ」と思いつつ、まあ、アメリカでは話題になっている、というので見に行ったのだ。ところが。

 映画を見終わったころには「いやぁ~面白かった」となった。上映当時が1985年。当時は1作で終わるはずだったようだが作っているうちにドンドンアイディアが生まれてきたという。パート2が1989年、パート3が1990年とかなり短期間で3作作ったということは作り手としてはかなりハードだったのではないか。

 この手のSF映画、特にタイムトラベルものはタイムパラドックスがいい加減になるところがある。2時間程度の時間内に詰め込まなければいけないので少々強引でも話を進めてしまうのだ。しかしこの映画はそんなところがあまり気にならない。多少無理があっても笑って済ませるところがあるので、見ている方も深く考えない。そんなところが良い。

思わぬヒット作だったパート1

 パート1の上映からすでに40年になろうとしているが今でもストーリーに色あせた感が無い。時代設定が50年代のアメリカが最も元気だったころを背景にしていることもあり、生き生きした感がある。また後でわかることだがパート1の様々なシーンが後の作品シーンでも活きてくる。当時はわからなかったがあとの作品でわかるという仕組み。最初にこの設定をしていたのか、あるいは後付けで作り出したのかはわからないがトリビア的な面白さがある。ディズニー映画として制作される予定もあったようだが、「母親とキスをする」というのはいかがなものか、ということで没になった。

 また前述のようにこの映画の続編は作るつもりはなかったようで映画最後の”to be continued“も「主人公の人生はまだ続く…」というギャグのつもりだったが、人気沸騰で2作目を作ることになった。

今となっては「過去の時代」2015年の姿 パート2

 パート2では1985年から30年後、つまりは2015年に向かう。2024年現在からすると「10年近く前の未来」ということになる。2024年現在を見ても自動車は空を飛んでいないし人々のファッションも映画で描かれる内容ほど「未来感」はない。実際に作っている側がどこまで真面目にこの「未来感」を考えていたのかはわからないが、こういった「不真面目さ」は、この映画を理屈で見ようとする輩を「だってこの映画はジョークだよ」と一蹴してしまいそう。そこがまた良い。

 またパート2が制作されたのは80年代後半。当時は日本が世界を席巻している時代で電化製品、車など日本製品が世界各国でバカ売れしていた時代。アメリカではソニーがコロンビア映画を買収し、そのほかパイオニア、東芝、などがハリウッドに進出。ニューヨークのタイムズスクエアの広告はずっと日清カップヌードルだったし、マンハッタンのロックフェラーセンターも三菱地所が所有した。日本はバブル期で海外資本を次々買収していった時代だったので、映画パート2でもマーティの上司は日本人の設定(名前はフジツウ イトウ※フジツウが姓)。2015年はアメリカを経済的に牛耳っているのは日本という雰囲気を醸し出している。逆に今の時代から見ると幻のような時代背景と言える。

流れが変わったパート3

 パート3では1885年、つまりは1985年の100年前が舞台となる。過去2作品と違っているのは主人公がほぼドクことエメット・ブラウンになっている。マーティはどちらかというと引き立て役。だから過去2作品の流れからすると少々違和感がある。おおむねこういうシリーズもので3作目となるとダレてくるのは仕方がない。これまでと同じような展開では飽きてしまうし、かといって別の主人公を立ててしまっては話が変わってしまう。ドクを立てて主役交代にしたのは結果的によかったと思う。

“to be continued”はあるのか

 さて気になるのは次があるのか、という点。最後の作品からすでに34年が経過しているし、主役を演じたマイケル・J・フォックスの出演はかなり難しい。脚本担当のボブ・ゲイルも「もうパート3で作品を完結させた」と言っていることからおそらくすぐに作られることはないと思う。ただ全く別のスタッフが登場人物を変えて新たなストーリーを考える、というのはアリか?

バック・トゥー・ザ・フューチャー ロケ地探訪

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